東京高等裁判所 昭和32年(ネ)2276号・昭32年(ネ)2553号 判決
よつて、被控訴人ら主張の解除につき案ずるに、被控訴人らが昭和三十年十二月十六日控訴人坂部に対し、転貸借を理由とする解除の意思表示をなし、これが同日右控訴人に到達したことは、当事者間に争のないところであるが、原審における証人坂部美佐子の証言と被告(控訴人)坂部の尋問の結果によれば、控訴人村田は昭和二十九年控訴人坂部の長女と結婚したが、住居がなくて夫婦とも控訴人坂部方に同居しその後一子が生れたこと及び控訴人村田は部屋代その他を支払はず食事も控訴人坂部の家族と共になし全く家族の一員として同居していることを認めることができ、右認定を左右するに足る何らの証拠もなく、かような使用関係は、民法第六百十二条にいう転貸借に当らないものと解するのが相当であるので、被控訴人ら主張の解除の意思表示はその効力を生せず、この点の被控訴人らの主張は採用の限りでない。
(岡咲 田中 脇屋)